水無川・新茅ノ沢遡行~戸沢右俣下降-Ⅱ

(烏尾山から戸沢右俣を下降)
烏尾山頂上は山ガール、山ボーイ(小父さん、小母さんを含む)の世界。山作業員風体の爺さんには居心地が悪い世界。丹沢とは名の如く美しい沢。沢歩きこそ丹沢の王道であると云いたい所だが、マイナーな立場になってしまった。
2年前、北鎌尾根を歩く訓練の為、戸沢の左俣を登り、右俣を下降する心算でここを訪れたが、薮を漕いで下った沢が何と新茅ノ沢と云う大失態を演じてしまった。戸沢右俣にしては滝が多いと思いつつ下った滝の下に張られた『新茅ノ沢F10』の文字に最初は悪い冗談かと思ったが、続いて現れた『新茅ノ沢F9』の表示でようやく事態が呑み込めた。判ってしまえば後は楽しく下るしかないと腹を決めはしたものの、その後も戸沢右俣を登る気にはならず、下ることにのみ意味を求めていたのである。
そんな因縁の右俣であるが、先ずは仲尾根の入口を捜してみた。それらしい踏み跡は見つからず、前回の轍を踏んではと諦め、沢への降下地点を捜した。
行者ケ岳寄りの鞍部から覗いた源頭部は草付であるが、その下が脆い岩場になっており、懸垂下降の支点になりそうな樹木も無い為、諦め。仲尾根沿いにガレの縁を下ってみた。人の歩いた痕跡は無かったが、鹿道があった為、これを活用し切り立った泥壁を越えてガレに下りた。
 
鞍部から覗いた一見下りられそうな草付斜面
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ストックを活用したグリセード態勢で、扇の要地点を目指して慎重に下る。
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縦走路の鞍部を下から見上げる。ここを下らなくて良かった。頼むから石は落とさないで!!
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間もなく扇の要。少し戻りながら沢底へ向かう。対岸に古い?赤テープを発見。
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扇の要から再び振り返る。若いハイカーがここを下ったら早道ジャンと冗談を飛ばしていたが、本当に下っている奴がいるとは思わないだろう。イメージ 5
 
沢らしくなったが、石は崩れやすく、極めて不安定。慎重に下る。
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最初の滝はチョックストンの塊みたいなやつ。中央の小CSを潜り、左の丸岩下へ滑り降りる。
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CS8mの滝。左右から眺めたが、硬そうな右岸はかぶり気味で苔が多かった為、脆そうだが乾いた左岸を下る。ホールド、スタンスともにあるのだが、まとまって剥がれ落ちそうなのが気にかかる。CS横の木が生きていた為、補助に使いA0.CSの下は全く問題なし。
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10m滝。左岸に確りした巻道があった為これを使って下る。しかし何と無く気にかかり遊ぶことにした。飛沫を被る為、カヌー用の半袖ジャケトを着込み、左岸からへつって見たが超脆く、これは諦め。右岸の濡れた壁を慎重に登って落ち口へ抜けたが、下りは再度巻道を利用した。
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この先、直ぐに二股があり5m位の滝があった他は河原歩きで戸沢出合に到着。因縁の戸沢右俣下降は無事終了した。